人体のバランスと噛み合わせの関係
●人体を支える柱
人間の身体は、重力に逆らった二足直立姿勢をとっています。
最上位にある頭部の重心から、頚椎→胸椎→腰椎といった身体の脊柱の中心に重心が乗り、 バランスを取っています。このような人体のバランスを保つために非常に大きな役割を果たしているものの一つに、実は噛み合わせがあります。
例えば家のような構造物を考えてみてください。
もしも構造物を支える柱が全てバラバラな長さだったとしたらどうなるでしょうか?しかもその柱が垂直では無く、少しづつ傾いていたとしたら・・・?
その構造物はきっと傾き、重さや揺れに対して致命的な程の弱さを露呈するはずです。
人体は構造物とは違い、複雑に運動を続け、姿勢を変え続けます。そんな人体を支えるには、構造物とは比べ物にならない程の類稀な調整力を持った強靭な柱が必要です。耐久性、調整力を併せ持った人体の柱、それが骨格であり筋肉なのです。
骨と骨は可動性を得る為に関節によって連結され、筋肉によって支えられています。これらの制御は脳による判断と指令、神経の伝達によって行われます。
ところが、この中で一箇所だけ特殊な部位があります。
2足直立姿勢の最上部にあり、約5キロもある頭部の重心を調節している上あごと下あごの歯列の接触関係 です。上あごと下あごは上下合わさった全体で「一つの特殊な関節」と呼ぶことができます。食物の入り口として、開口したり噛み砕くために上下に動いたりする役割の他に、もう一つ重要な役割を担っているのです。
それが姿勢のコントロール。
実は私たち人間は下あごの位置をズラす事によって大きく姿勢をコントロールしているのです。運動や姿勢の変化に合わせ、噛み合う位置を微妙に変化させ必要な姿勢を支えるのが、噛み合わせの持つ重要な役割だと言えるのです。
噛み合わせの不具合で生じる問題
●歯周病・むし歯
むし歯や歯周病によって乳歯や永久歯を失ってしまった場合、その両側の歯が次第に空いた所に移動したり傾斜します。また乳歯のむし歯を放置するとその下にある永久歯もむし歯の影響を受けて、歯並びが悪くなる原因となります。
●生活習慣
食習慣の変化により柔らかい食事が増えました。その為、噛む回数が減りあごが充分に発達しない事も増えています。あごの骨が発達しないまま歯が成長すると歯が並ぶスペースが少なくなり、叢生(そうせい)となるケースがあります。
●病気など
なんらかの病気で歯の本数が足りない、アレルギー性鼻炎などによって鼻呼吸が出来ずに口呼吸だけをする、といった事が原因で不正咬合になる場合があります。
- ●遺伝
- ご両親が「出っ歯」だとお子さまも「出っ歯」になることがあると言われます。子の体格や顔が親に似るのと同じで、歯並びも遺伝を受ける事があります。
噛み合わせの治療について
噛み合わせの治療は、上下の歯の接触状態、下あごを左右に動かした時の噛み合わせチェック、下あごを前後に 動かした時の噛み合わせチェック、隣り合う歯の接触の強さ、歯並び、歯の形状、咬合面の乱れ、歯の欠損など、歯科医として診断できる全ての項目のチェック に加え、顔の骨格や筋肉も考慮しなくてはなりません。
治療方法自体は、歯牙移植やスプリント、噛み合わせ矯正などで行なっていきますが、単純に目に見える部分以外の場所まで正確に把握していなくてはならないので、非常に難しい治療です。
中川歯科医院では、早くから噛み合わせによる全身への影響に注目し、その治療法を確立してきました。多くの患者さまから噛み合わせの悪さからくる苦痛を取り除いております。
当ページでご説明してきた症状などお悩みの方や、お医者さまや他の歯医者さまに治療を受けても治らなかった方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたの悩みが解決するきっかけになるかも知れません